【双極性障害と障害年金】受給できる人の条件や申請時の注意点について社労士が解説!

こんにちは、社会保険労務士の豊田です。
こちらの記事では双極性障害の方が障害年金を申請する際のポイント・実際に受給が出来た事例をお伝えします。
一人で生活が困難… 特に仕事をすることが難しい という方は対象の可能性があるので是非ご覧ください。

双極性障害とは

双極性障害とは、気分が激しく高まる躁状態とひどく落ち込むうつ状態を繰り返す病気です。これまで「躁うつ病」と呼ばれていましたが、現在は双極性障害が一般的な呼び方となっています。 躁状態では、興奮状態が続く、怒りっぽくなる、よくしゃべる(多弁)、寝ないで活動し続けるといった症状があり、うつ状態では、反対に気分がひどく落ち込み何もできなくなる、楽しめなくなる、一日中寝ている、または眠れないなどの症状があります。また、躁とうつの変わり目で躁状態とうつ状態のどちらの症状も出てくる混合状態というのもみられます。 日常生活や仕事に大きな影響を及ぼす激しい躁状態があれば「Ⅰ型」、日常生活や仕事にそれほど支障をきたさない軽躁状態の場合は「Ⅱ型」と診断されます。どちらの症状が重いということではないですが、分類することで診療の方針が変わってくるようです。

障害年金とは

障害年金とは、病気やケガなどで日常生活に支障があったり、今までどおりに働くことが難しくなった場合などに、一定の条件を満たしていればもらうことができる公的な制度です。 視覚・聴覚・手足の不自由だけでなく、がんや高血圧、糖尿病による合併症や心疾患、うつや統合失調症などの精神疾患など、数多くの病気やケガが対象とされています。

双極性障害で障害年金はいくらもらえる?

もらえる金額は次のとおりです。

⑴障害基礎年金(年額)
1級 1,020,000円+子の加算
2級 816,000円+子の加算

⑵障害厚生年金(年額)
1級 報酬比例の年金額✖️1.25+障害基礎年金1級+配偶者加算額
2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級+配偶者加算額
3級 報酬比例の年金額

詳細はこちらをご確認ください。

双極性障害で障害年金を受け取るためのポイント

次の3つの要件を満たす必要があります。

1 初診日要件

初めて医師の診察をうけ、病気を診断された日です。初診日が65歳未満であることも必要です。
しかし、症状の原因がわからず、双極性障害以外の診断(例えばうつ病、適応障害など)を受け、他の病院で初めて双極性障害だったことが判明することもあります。そういった場合でも、病名が異なるから直ちに別の病気として扱われるのではなく、最初に診断された傷病と双極性障害との相当因果関係があることが証明できれば、最初に行って双極性障害以外で診断を受けた病院が初診日と認定してもらえることもありますので諦めないでください。

2 保険料納付要件

初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの期間で、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること(厚生年金や共済組合加入期間の期間も含む)。
ただし、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
また、20歳前に初診日がある場合は、納付要件は不要です(ただし、一定以上の年間所得があると支給額の制限があります)。

3 障害認定日要件

障害認定日は初診日から1年6か月を経過した日を指します。
この日の時点で国が定める認定基準に該当しているかを審査します。
障害年金は、障害基礎年金(国民年金)、障害厚生年金の2種類あり、障害基礎年金は1級と2級、障害厚生年金は1〜3級という程度を表す等級があります。

各級の認定基準は次のとおりです。

1級 1 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
2 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級 1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため 人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、 日常生活が著しい制限を受けるもの
2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障 害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障 害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

以上のように、特に3級では、労働が制限を受けるものとあるように、必ずしも働いていないことが障害年金を受給できる要件ではないということがわかります。
さらに障害年金の審査においては、現症だけでなく、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮しています。

このような基準を判定するためのガイドラインが平成28年度に策定されています。
<国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン>
診断書(精神の障害)において、日常生活能力の判定と日常生活能力の程度という項目があり、これらの評価により、等級の判定の目安としています。

日常生活能力の判定
⑴適切な食事
⑵身辺の清潔保持
⑶金銭管理と買い物
⑷通院と服薬
⑸他人との意思伝達及び対人関係
⑹身辺の安全保持及び危機対応
⑺社会性
下表のように各項目を数値化していき、その平均値を取ります。

できる 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

 

日常生活能力の程度
⑴精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
⑵精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
⑶精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
⑷精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
⑸精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
となっており、これを医師に記入してもらいます。

上記の日常生活能力の判定で取った平均値と日常生活能力の程度で記入された数値を合わせると下表となっています。
なお、障害基礎年金には3級がありませんので、3級のところは「2級非該当」と読み替えてください。
また、この表によって必ず等級に該当することを保証するものではないので、目安として見ていくことが大切です。

この他に、1件ごとに現在の病状または状態像、療養状況、生活環境、就労状況、その他の要素を総合評価して判断するという仕組みなっております。

障害年金の申請に必要な書類

受診状況等証明書
初診日を特定するために必要な書類ですが、初診日から同じ病院を通院している場合は取得不要です。
初診日に行った病院が閉院していたり、カルテがすでに破棄されている場合でも対応方法はございます。

診断書
障害認定日から3か月以内の状況を医師に書いてもらいます。
すでに期間が経過しており、遡及して請求する場合は障害認定日から3か月以内のものと請求時点のものの2つを作成してもらいます。

病歴・就労状況等申立書
発病時から現在までの時系列を申告するためのもので、請求者が自分で作成する書類です。
精神障害ではこの書類の内容も非常に重要になりますので、作成は慎重に行いましょう。

働きながら障害年金をもらえるか

3級の認定基準に「精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著し い制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とあるように、働いていてもその仕事(作業)内容に何かの制約があるときは障害年金を受給することはできると読み取れます。ただし、いわゆるフルタイム勤務(1日8時間労働など)のように他の人と同じように働ける場合は障害状態にないと見ることもできるため、働き方には注意が必要です。

例:受給できそうなケース
・障害者枠雇用の方
・休職中の方
・仕事において会社から特別な配慮をしてもらっている方
・パート、時短勤務のような労働に制約が必要な方

受給しづらいケース
・正社員雇用
・フルタイム勤務

・これから申請する人
精神の障害の診断書と病歴・就労状況等申立書には就労に関する内容の記載を求められます。医師との普段からコミュニケーションを取っておき、診断書には状況をしっかりと記入してもらいましょう。

・すでに受給中の人
更新では、申請時と同様に診断書を求められますのでこちらも医師との普段からコミュニケーションを取っておき、診断書には正確な内容を記入してもらいましょう。

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ここまでご覧いただきありがとうございました。 双極性障害での障害年金申請のポイントは以上です。 障害年金の申請に少しでも不安がある方は専門家への相談がおすすめです。 当事務所は初回の相談は無料です。 ご予約はこちら

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